山田詠美著
「つみびと」拝読。
ちょっと前に
子供二人を何日もマンションに閉じ込めて
遊んでた母親が、子供の死臭により
発覚、逮捕された事件。
なんて愚かな、と思ったものですが
その事件をベースに書かれた小説を
こうして読んでみると
ある日突然、子殺しというものが
起こったわけではなく
何年、何十年の年月の果てに
ひとつの不幸が実を結んでしまった
のだと思えてきます。
それにしても親の代からはじまる
家庭内暴力
性虐待
学の無さ
無体な友人関係
貧困···
こういうことがあるのだろうか?と
思うけれど、あるのでしょう。
周囲に助けを求められず
見栄というもので自分を奮い立たせて
沼に沈んでいく描写はつらすぎでした。
子殺しをしてしまった母親は
終始子供への愛に溢れているし
非常に人間的であるのです。
子供に愛情を持てないから
殺したんじゃない、だったら
捨てればいいだけ。
愛情が強いからこそ
すべてを
引き受けた母親の物語でありました。
これは小説ですけど
現実世界でも、子供を育てきれなくなって
沼に沈むのは
常に母親。
女ひとりで子供が誕生できる
訳もないのに。
DJ KAZURU
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