幸田文が父親露伴に
掃除のやり方を徹底的に
しつけられるエピソードが
大好きなのだけど、この本にも
そのくだり、しっかり出てきます。
編集者として幸田文に
近しく接していた松村友視の
エッセイ「幸田文のマッチ箱」
にも濃く使われています。
やはり、この話が大好物なんでしょう。
現代の住宅事情では
密閉具合が違うので、露伴の教えが
いまは正しいかどうか微妙なところですが
雑巾の絞り方
はたきのあしらい方
障子の張り替え···
まあ見事なまでの徹底した
掃除の流れです。
細かい手順をチクチク皮肉られつつ
文はローティーンの頃にしつけられた。
露伴の言葉の端々には
男尊女卑そのまま、という
発言もあるのですが
なぜか
「女はすぐに汚れっぽくなるから
気を配らねばならない」
ということを
肝に命じたくなってしまうような
ところがあります。
家政婦にすべて任せればいい
自分は稼ぐのだから、と
いう女性よりも、露伴の教えを
くぐり抜けてきた人の方が
上等なように思えてしまう不思議。
露伴以外の人に
言われたら反発するところを
わたくしは受け入れるわけですが
それも、文の言葉を通して
すっと入って来るわけです。
女の嗜みに厳しい父親
そういう父親に教育を受け
しっかり身に付けたことに対する
誇りが常ににじみ出ている
文の文章。
結局わたくしは
それが大好物なのだよね。
DJ KAZURU
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