「老妓抄」岡本かの子著
新潮社が社内の事務職から営業から
編集者まで様々な部署の人の
推薦本をまとめて発表しているのを
見ました。
これは名物編集者の中瀬ゆかりが
挙げていた一冊。
ステイホーム企画でしょうが
気になる人の推薦本は一応
チェックしたくなりますね。
そもそも
岡本かの子は好きで、「玄人」の
話も大好物なので、しみじみ拝読。
若い男を囲う、盛りを過ぎた
芸者の話ですが、世の中を
覚った心境と、どうにも
おさめられない燃えるものが
交錯する素晴らしい短編。
···
何人男を代えてもつづまるところ
たった一人の男を
求めているに過ぎないのだね。
いまこうやって思い出してみて
この男、あの男と部分部分に
牽かれるものの残っているところは
その求めている男の一部一部の
切れ端なのだよ。
だから、どれもこれも
一人では永くは続かなかったのさ。
そこへいくと、堅気さんの
女は羨ましいねえ。
親が決めてくれる、生涯
ひとりの男を持って、何も
迷わずに子供を儲けて、その
子供の世話になって死んでいく。
···
年々に わが悲しみは深くして
いよよ華やぐいのちなりけり
DJ KAZURU
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