鷲田清一 著
「ちぐはぐな身体」拝読。
私の好きなヨージヤマモトの話から
イタリア修道会の仮面をつけて入る
仕切りのないトイレの話まで
興味深い内容で溢れていましたが
ハッとしたのは、やはり
戦時下の服装規制キャンペーン
についてでした。
「このキャンペーンのなかで
『廃止すべき服装』
としてあげられたのは
原色を三色以上使用したもの
極端に大柄なもの、ハイヒール
真夏のショール
羽織、手袋、帯留め、ブローチ
ハンドバッグ、髪飾り、アイシャドー
マニキュア、口紅、めだつ頬紅···」
と
続くのですが「ぜいたく」に
あまり関係ないものもあり
その基準は謎です。
のちに
贅沢排除の監視活動はエスカレートし
「警告票」を配るに至ったそうです。
つまり、対象を引き留めて
激しく糾弾した、と、
著者は
「自発的に為される摘発運動に
よくみられることだが、嗜虐の快楽を
ひそかに混入させた暴力が、
路上でそれこそもっとも
アンファッショナブルな人たちによって、
どれほどヒステリックに
行使されたかを想像するのはそんなに
むずかしいことではないだろう」
と、述べています。
疫病蔓延を恐れる社会でも
他者の服装振る舞いに文句を言うという
似たようなことが起こっていますね。
私はアンファッショナブルな人には
なりたくないな。
逆に着物姿なんぞでいると
彼らの攻撃の対象に
なりそうな気もしますが
私はコワモテなので、まあ
槍玉にあげられることはないでしょう。
いつの世も大人しそうで
弱そうな人が真っ先に暴力を
行使されるのです。
DJ KAZURU
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