Released 2009
88697-44701-2(Sony Classical)
1. Tu Conga Bach (Fugue in C Minor)
2. Fuga (Sonata in D Minor)
3. Air on a G String (Orchestral Suite in D Major)
4. Clave in C Minor (Prelude in C Minor)
5. Gavotte (French Suite in G Major)
6. Mi Orisha (French Suite in C Minor)
7. Minuet in G
8. Olas de Yemaya (Prelude in C Major)
9. Baqueteo con Bajo (Cello Suite No. 1)
10. Timbach (Prelude in D Major)
11. Kyrie (Mass in B Minor)
ティンバの副都心・マイアミで活躍するTIEMPO LIBREが
最初から最後まで、バッハの名曲を使用したアルバムを作りました。
バッハ有名曲のテーマが、ティンバの雄の手にかかると
どのような展開になってしまうのか、全てのクラシックファンの
皆様方にこそ聴いて頂きたいものです。
そもそも彼らの故郷キューバは、クラシック音楽教育が国策として徹底しているわけで
それを裏付けるような作品ともいえるわけですが、ここまでしっかりと
クラシック音楽に敬意を示しつつ、自分たちの音楽をやってのけた
グループはいなかったのではないでしょうか。
まずは企画の大胆さに驚かされます。
♯3、G線上のアリアなど誰もが知る名曲が並ぶほか
♯5、ガヴォット、♯7、メヌエットといった
子供がヴァイオリンのお稽古で必ず弾くような曲(実際に、私も幼少の折
たどたどしく弾いた曲やら、学生時代に弦楽四重奏で演奏した
経験が)を選んでいるのも特徴ですが、甘ったるい解釈は皆無。
挑戦的なアレンジと巧みな演奏、特にリズムをどのように
切り込んでいくかが今回の最大の見せどころだったかと思われますが
完璧なやり方で、「バッハとティンバの融合」をしています。
単純にティンバのリズムでバッハのメロディ、ということでは
ないことが肝心なのです。
バッハは建築的、と評されることもある作曲家ですが
バッハ作品であったからこそ、この仕上がりともいえるでしょう。
例えばロマン派の作曲家などを取り上げたら
TIEMPO LIBREの持ち味が生かし切れたかどうかは微妙なところ。
♯10が唯一オリジナルかと見まごうサウンドなのですが
他はすべて、彼らのこれまでの経験とは異なった
知恵が必要だったはずです。
パキート・デ・リヴェラ、ヨスヴァニー・テリーのゲスト陣は
寧ろラテン・ジャズ愛好家に受ける部分かも知れませんが
ともかく、この作品は多くの人の耳に触れるべきアルバム。
キューバの多種多様なリズムに魔法をかけられ
美しく疾走感あるダンス・ミュージックへと変貌を遂げた
バッハです。
(DJ KAZURU)
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