皆川博子 著
「妖櫻記」拝読。
南北朝の争いにからめて
女の情念を
描いた時代物。
生傀儡、異形の猿楽師、
戦闘集団、血統争い、と
色々な要素がうごめくなか
やはり女の執念がテーマとして
大きく浮かび上がってきます。
懐妊した妾への嫉妬から拉致し
殺害する冒頭部分から
霊にとらわれ若い身空で
白髪の老婆になってしまう後半まで
まるでホラーな大河ドラマの
ようでした。
実際の史実の裏には
こんなこともあったのかなあ、と
想像を廻らせるのも愉し。
あとがきにあたる「作者口上」には
山東京伝の「桜姫全伝曙草紙」の
登場人物を借りたところも多いようで
江戸時代の戯作を
「皆川スタイル」で書いた
「伝奇文学」、という
感じなのかもしれません。
DJ KAZURU
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