「金環食の影飾り」
赤江瀑 著 拝読。
姉の遺品から見つかった
歌舞伎の台本、その出来の良さから
国立劇場で新作通し上演が決まり
その初日から始まるストーリー。
日頃通いなれている国立劇場が
出てくるのであの建物を想像しつつ
読みました。
秀逸なのは、ストーリーの
合間にけっこうなボリュームで
挟まれる新作歌舞伎の台本。
こんな芝居やってたら観に行きたいと
心から思いました、赤江瀑には歌舞伎の
台本もお手のもの、どこからこのような
ストーリーがわきあがってくるのか、もう
感嘆しかありません。
ただの歌舞伎通では絶対に
たどりつけないところに立って
我々の眼前にありながら、でも
けして見えてないものを
見ているような感じがします。
美しさと情念の怖さ、
抗えない因縁、
男女の不可思議な関係。
くーっ素敵、と唸る
ポイントだらけです。
歌舞伎はそもそも夢の中のような
ものですからね、夢だから
心地よく浸れる、というような
感覚がこの小説の魅力です。
DJ KAZURU
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