文庫復刊で皆川博子著
「写楽」拝読。
読みだしてすぐに
あれ、真田広之の出てた映画
「写楽」と同じ展開だな、と
気づいたのですが、あの映画は
篠田正浩監督の肝いりで
皆川氏にシナリオをお願いしたという
いきさつだったようです、公開当時
皆川氏を知らなかったのですが
良い映画でした。
これはその後に、きちんとした
小説として「写楽」を書いたものだそうですが
稲荷町から蔦屋重三郎に見いだされ
一年弱の活躍だけで
パッと無名になった男の生きざまが
鮮烈で、その史実は分かりませんが
この物語を心にあらためて
あの大首絵を見てみたいと思うのです。
写楽を語るとき
蔦重の存在は欠かせませんが
こちらもまた見事な人物描写(映画では
フランキー堺)。
アーティストとプロデューサーの
他人にはわからない、深い理解が
あることが高い芸術作品を生むことに
つながるってことがよくわかります。
江戸期の芸術は日本独特の
成熟があり、実に面白いものです。
華美を禁じる政府の方針と逆に
どんどん進化していく
究極の大衆娯楽であった歌舞伎と
役者絵。
この小説も
今と異なり、悪所と呼ばれた
芝居小屋から生まれた人間模様を
写し取っています。
DJ KAZURU
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