「残花亭日暦」
田辺聖子著、拝読。
2001年から2002年にかけて
「良いことだけ記そう」ということで
書かれた日記は、後半
「カモカのおっちゃん」として
世間に知られたパートナーの
介護とみとりの記述と化します。
ちょいちょい登場する林真理子氏が
解説で、これは日記と言いつつ
明らかなフィクション、と語るように
やはり、日記文学なんだと思います。
それにしても死期の迫ろうかという
夫を抱えながら
しょっちゅう締め切りは来るし
源氏物語関連の講演会も
バンバンやって地方にも行ってらっしゃる。
とてもパワーのある人だったんですねえ。
男の作家にこんな生活は
とてもできまいよ、と思います。
なんで女の人の方が
思い荷物を背負えるんでしょうね。
吉村昭氏の奥さんの津村節子氏も
三食きっちり料理して
夫の世話してたそうですが
津村節子のほうが先に芥川賞とってるんですよ
男女逆だったらあり得ない関係ですよ。
いよいよ伴侶が
「骸骨みたいになった」ときに
田辺聖子氏は
「涙が出るのは
女の精神の部品掃除よ」
と、自分で書いた小説のフレーズを
おもいだすのですが、ああ
言葉を駆使して生きている人なんだなあと
しみじみ読みました。
古典の良さを広めた作家でもあったけど
やはり
「女心」を書き続けた作家です。
DJ KAZURU
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