
「きみのためのバラ」
池澤夏樹 著拝読。
どこにも旅できない2020年
世界各地が舞台のショートストーリーを
集めたこの本が人気なのだそうです。
わたくしはそもそも池澤夏樹氏の
ファンですが。
どの小説からも
言葉の持つ力、を
教えてもらえます。
沖縄が舞台の「大人のお伽噺」のような
「連夜」と
ブラジルの奥地が舞台の
「レシタションのはじまり」が
特に面白かったのです。
「レシタション」は人を
平安の至福に高める、まるで疫病のような
言葉の話です。
他と争ってもなにかを所有したいという
欲望が消えるわけではないけれど
激昂がおさまり
しがみつく思いが薄れる、そんな
魔法の言葉。
そんなものがあったら
誰か傷つくまで奪おうなんて
思わずにいられる···
いや、けしてそんなことは無いのだけど
あったらこんな平安が世界中を包むよ、
という
美しい物語です。
DJ KAZURU
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