無花果に胡麻だれかけて
ビールをひとくち。
···
「花の旅、夜の旅」
皆川博子 著、拝読。
「長編推理コレクション」の
最終巻です。
冴えない男性作家が
取材中に起きた出来事をノートに記し
それをもとに書き上げた
作中小説が交互に現れて
事件の真実をあぶり出すという
不思議な設定。
しかも、作者は途中で死亡し
謎解きは、明らかに
「皆川博子」を思わせる
女性の作家に
受け継がれる。
連載時に、これを皆川氏は
「作家が死亡したので
来月からは別の作家で
連載を続けます」という
告知をいれて、ガチで
やりたかったが、編集者に
反対されたと言っています、素敵。
皆川博子の貴重な過去作品が
こうして次々復刊を果たしていますが
巻末に添えられた
インタビュー集も楽しみです。
ティーンネイジャーになる前の
国内外を問わない
豊潤な読書体験。
ランボー、ユーゴー、ディケンズ!
戦中は読むものがなくて
牛乳瓶の蓋の印刷にまで
活字を感じ嬉しく眺めていたこと。
この人の昔語りを
聞くのが(読むのが)これまた
楽しいのです。
こういった形でまとまって
過去の作品やらインタビューに
触れることができるのは
編集者、日下三蔵氏のお陰です。
作家がどんな名作を書いても
編集サイドが良さを理解できなければ
無かったことになってしまうのが
小説というものなので、こうして
息を吹き返すような復刊は
素晴らしいです。
読みたいから買うには違いないのですが
とりあえず、シリーズすべて買うことで
また別の面白いものが
復刊する流れになってくれたら、と
思いますね。
読者だって頑張って
読書のつとめを果たしてるんだぜ!
DJ KAZURU
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