大城立裕 著
「カクテルパーティー」拝読。
1967年芥川賞受賞作です。
つい先頃新聞でこの作品と著者を知り
読まなくては!と思った一冊。
沖縄で、米軍関係者たちと
交流を持つ主人公は、中国語と
英語を喋り、基地内での
パーティーにも呼ばれる。
一般の沖縄人よりは、米国に
近い存在として暮らしているが
パーティーで米軍たちと談笑している
そのときに、娘は米兵にレイプされてしまう。
告発するため、親しいはずの
米軍関係者に相談しても
パーティーのときとはうって変わって
協力してもらえない。
間にたってくれそうな
中国人を頼っても
「私の妻は日本兵にレイプされた」という
告白が始まり、国の問題と
個人の問題が絡まりあってしまう。
被害者としてなのか、
加害者としてなのか
立場が交錯するわけです。
著者は「あとがき」で
「1985年に著名な評論家が書いていた
『ヒロシマ、ナガサキの被害という理解が
全国に流布しているが、我々は加害者
でもあったという自覚をもつことが
そろそろ必要ではないか』
読んで私は腹立たしいやら呆れるやら
何を今ごろ尤もらしく
得々と書いているか、おれは二十年前に書いている」
と、記していますが
本当に強烈な問題提起です。
戯曲の形で後日談も読めるので
この文庫はとてもお得でした。
読むべき本というのは
いっぱいあるものですが、日本人ならば
必読の小説かな、と思います。
DJ KAZURU
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