「何もかも憂鬱な夜に」
中村文則 著、再読。
暗い、とにかく暗い気持ちになる
小説です。
刑務官として死刑囚と
日々向き合う主人公の、生活
生い立ち、交遊関係
すべてが暗い···著者得意の
パターンとも言えますが。
犯罪者と一口に言っても
死刑囚は、いわゆる「ムショ暮らし」の
懲役の人たちと
生活も立場も制約も全然違うので
「不意に来る執行の日」を待つ彼らの
動きというのは実に興味深いものです。
短い小説ですが
刑務官から見た死刑制度、
遺族感情としての死刑論、
犯罪者から語られる理屈、
宗教の力で罪を心底悔い
改心することはあるのか?
など
重い問題が
ぎゅっと詰めて
突きつけられます。
主人公と、施設時代の恩師の
関係もまた考えさせられるエピソードが
多く、色々考えているうちに
読了していました。
中村文則が若い人たちに
人気の作家であるというのは
現代社会が作品同様とても
重苦しいものであるからなのかな?
それともまったく暗いことが身近に
感じられないハッピーな世の中だからなの?
若い子達に聞いてみたいような
気になりました。
DJ KAZURU
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