蝉谷めぐ実 著、「化け物心中」拝読。
これが新人の小説か?と
話題になっているのもよくわかる
刺激的な作品。
芝居小屋に現れる「鬼」
の正体を暴くことになった
「魚之助」は舞台での怪我がもとで
両足を切断した美しい女方役者。
赤い布を足に巻いたり、どうみても
実際の幕末の歌舞伎役者
澤村田之助を彷彿とさせるキャラクター。
「鬼」なんて本当はいなくて
殺人はすべて
人間の仕業というミステリーだろうと
読み手は思いつつページをくるわけですが
ところがどっこいの結末です。
現代と違って江戸時代の
芝居小屋ってきっと地獄も極楽も
一緒になってるような
場所だったのでしょうね
···芝居に生きる者たちの
業と執念、悲しみがあふれでた
小説でした。
美しい装画にも目をとられましたが
最近注目している
紗久楽さわ氏でした。
同じく江戸の歌舞伎役者の
コミックを描いているし、代表作
「かぶき伊左」にも田之助を思わせる
足を切断した女方が登場するので
興味深く読みました。
みんな
見たこともない田之助が
大好きなのですね···
歌舞伎好き、というか
歌舞伎にまつわる物語が好きな人は
田之助にファンタジーを持ちがち?
補助器具に助けられ舞台復帰するものの
数年後、足だけでなく
手も腐っていき、切断した田之助。
そして狂い、孤独に自死するまでの
華やかな栄光と挫折に
どうしようもなく惹き付けられるのは
その人生と芝居の境目がわからない
気がするからでしょうか。
···
この心玉をお前が鬼というのなら
たぶんわしは鬼なんだろうなぁ。
役者はみんな鬼であるんだろうなぁ。
DJ KAZURU
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