いとうせいこう著
「夢七日」拝読。
漱石の「夢十夜」も妙な作品ですが
少なくとも
「こんな夢を見た」という、ひとつの話
であるので、不思議な物語ではあっても
不可解なことはないわけです。
いとうせいこうの「夢七日」は
夢の中で夢を見た、そして
その夢の中でまた夢を見るので
「夢の第六階層」「夢の第七階層」そのまた上
まで、平気な顔で出現します。
そこで語られることは
能の翻訳であったり、
紛争地帯で見た光景であったり、
音楽イベントであったり、
どう考えてもみうらじゅんだよなあ、という
友人イラストレータとの仏像めぐりであったり。
···つまり作者本人が
ライフワークとしてやっていることと
察せられることが多いのですが
果ては人形浄瑠璃「先代萩」のワンシーン
「仮名手本忠臣蔵」のワンシーンまで
それこそ夢のように出現し
混沌とした様相でたたみかけるように
綴られるので、まさに
夢の中へと引きずられてしまうよう。
そしてこれは
3.11からコロナ登場までの
話でもあるのです。
夢の前に記された日付に
あまり気を留めずに読み進めていましたが
ハッとなりました。
非常に刺激的な小説です。
DJ KAZURU
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