現在、ティンバがどうなっているのかということを語る上で、
無視できないのがキューバ国外の動きです。
今年に入って、 CICLON CUBANO、N TAYA、CROMALATINA、
TIEMPO LIBRE、CALLE REALという5バンドが
立て続けにCDをリリース。いずれも好作で、
今やティンバはキューバ国外が中心なのかという状況に
なってきているのです。
CICLON CUBANOは、イタリアからのデビュー。
ピアノのリフ、ボーカル、ベースの音が突き抜けていて今を感じさせます。
このバンドの特徴はティンバを演奏するかと思えば、ヒップ・ホップ、
レゲトン等を同列に取り上げているところ。
曲の配分はサルサ1、ティンバ3、ヒップホップ1、レゲトン2、
チャチャチャ1そしてサルサトンを2曲。
純粋なティンバ・バンドではないところが新たな傾向と言えるでしょう。
N TAYAもデビューCD。こちらはマイアミのティンババンドです。
名前は以前から聞いていたので待望の音源です。
このバンドはティンバをベースにしながらもレゲトンやヒップホップを
通過してしっかり消化した音になっている所が特徴です。
CICLON CUBANOにはサルサトンというリズム名を表記している曲が
ありますが、それらの曲よりもこのN TAYAは、
もう一歩サウンドを進化させています。
ベースとドラムの入れ方がヒップホップで、
サウンド全体はティンバという構成。
2曲目は特にその特徴が際立っています。
CROMA LATINAはCICLON CUBANOと同じレーベルからのデビュー。
このバンドはティンバではなく明らかにサルサ寄りの音ですが、
レゲトンの傾向が強く入っています。
ラストの曲ではCICLON CUBANOとのセッションを取り上げていて
ティンババンドであることを主張しています。
そして今やキューバ国外ティンバの代表格TIEMPO LIBREの新作。
これはなんとバッハを正面から取り上げたもので、
バンドの成熟度をバックにした革新的な試みといえるでしょう。
1曲ティンバが入っているのは、ファンとしてはほっとするところ。
そして最後はスウェーデンのティンババンド、CALLE REALのセカンド。
こちらはファーストでティンバファンの度肝を抜き話題となりました。
今作はそのサウンドの延長線上の音です。
キューバ風なところが感じられない、ソリッドな質感のサウンドは
ティンバがキューバで生まれ、加工されていくうちに全く違うものに変質し
その中で成功した好例といえるでしょう。
これらの5バンドは、クラシックなティンバ支持者にとっては
キューバ本国と比べ、好みが分かれるところですが、
現在のキューバ本国のティンバは、ソンやバンバン系チャングイを
ティンバとして解釈しなおしたものが主流となっている中、
国外のティンバ・バンドが明らかに、一方の傾向を示し、
勢いを増しているのは確かといえそうです。
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