
辻原登 著
「卍どもえ」拝読。
パスティーシュの名手なので
谷崎「卍」のオマージュと言われれば
ああそうか、と思うのですが
ストーリー的には
まったく違う小説です。
デザイナーとして成功している男、
その妻、妻の担当ネイリスト、
仕事相手、その妻、行きつけのバーの店員
愛人、と次々に登場する人物を
それぞれの生い立ち、父母の性格を
歴史上の出来事とともに
生きざまを細かく設定して振り返りつつ
物語は進行します。
この人物造形の詳細さがちょっと
一編の小説ではあり得ないほど
詳細で、次々に出てくる
人物すべてが際立つ存在となって
目の前に現れてくるようです。
どの人物もすごく魅力的というのではなく
みんなわがままで打算的なところがあり
欲でいっぱいですが、その人間味が
なんとも面白い。
男女の、または女同士の性的な
駆け引きに平行して
オウムサリン事件
渋谷の温泉爆発事故
エンブレム剽窃事件
など実際の出来事も巧みに取り入れてきます。
舞台もロサンゼルスからフィリピン
東京青山、大阪天王寺、飛田と
多彩。
やはり辻原登の小説は
一筋縄ではいかない楽しさがあります。
まだまだ話は続いていきそうな
勢いのままラストを迎えたので
不思議な読後感。
これからも読み続けていきたい
作家のひとりです。
サイン本を買い求めましたが、
サインはまったく
崩しのない字面でした。

DJ KAZURU
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