「鳥羽絵」という軽妙洒脱な
曲のお稽古をしておりますが
この譜面は90歳代の方から師匠に
断捨離で大量に持ち込まれたものの
ひとつです。
拝見したところ
見やすいよう拡大コピーしたものを
丁寧に張り合わせ美しい厚紙の表紙まで
ついておりました。
書き込みは最小限ながら美しく的確。
一体どのような方かと思えば
地方の大企業で入社と同時に
「長唄部」に入り、以来お稽古を
熱心に続けて、つい最近まで
年間100をこえるお浚い会に顔をだし
腕前は
「その辺のプロより上手」だそうです。
昔は一流企業に籍を置く紳士ならば
長唄のひとつもできないと
宴席で恥をかいたらしいですから
なるほどな経歴です。
当然、名前を取る話は
何度も出たそうですが、自分は
家元制度に疑問があると言うことで
拒否し続けたそうです。
名取になればなにかと
制約が生まれ、かつ
上納金も納めなくてはなりませんから。
私もその気はないのです。
私のようにほんの数年お稽古しただけの
腕前でも
暗譜で一曲弾けば、さらりと
名取にしてくれるところもいっぱい
ありますが馬鹿馬鹿しいので。
それにしても長唄一筋で趣味に生き
プロより上手いとは素敵な方です。
私もそうなりたいものです。
こういうこと言うと
名取にもならずに何のためにやってるの?
とか言う人がいるものですが
悲しい質問ですね···我々は音楽を
探求してるだけです。
それが喜びなのです。
DJ KAZURU
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