映画、曽根崎心中。
増村保造監督。
主演は梶芽衣子と宇崎竜童。
文楽でお馴染みの演目ですけれど
梶芽衣子が好きなのでDVD買いました。
冒頭から終始
死ぬことに対して前のめりな
天満屋お初。
身請け先が決まり
これを断れば、住み替えで
田舎に売られると分かり
もう死ぬしかないと思い詰めます。
馴染み客が転じて情人となっている
徳兵衛が主人の血筋の娘と
結婚話が出るほど真面目な男でも
今のままでは金がない。
金がなければ女郎は
身請けされないので、一緒になれない。
そこへ徳兵衛が金のトラブルで
窮地に陥ったので
お初としてはこれ幸い、道連れが
出来たわけです。
文楽でも有名なシーン
徳兵衛が首もとに、刀に見立てた
お初の足を当て、死の決意を示すところも
きっちり演出されています。
ふたり一緒に見事に死んで
恋の手本となりましょう。
さあ、死のう、さあ、殺せと
お初主導でふたりは心中します。
文楽の舞台では
お初主導が強く感じるものもあれば
そうでもないものもありますが
この映画は
「徳兵衛よ、お初に出会ったのが
運のつきだなあ」
という空気むんむん。
お初は、自分の身体で
儲けている人間、つまりは
親、女郎屋の主人、身請けしようとしてる
お大尽・・・彼らに対して
怒りでいっぱいなわけです。
奴等に損をさせるには
自分の身体を無くしてしまうしか
ないという計算が
働いたのではないでしょうか。
命を断つことが
唯一のレジスタンスなんですよね。
それじゃああまりに悲しいので
自分は添いたくても添われない人と
あの世で添うために死ぬんだ、これは
恋の手本になる行為なんだ、と
看板をかけかえてるんだと思います。
徳兵衛の金のトラブルは
心中と入れ違いで解決されたわけですが
お初にしてみれば、無事解決して
徳兵衛にもとの生活に戻ってもらっちゃあ
困るんです。
舞台で見てるとまた別の
気分で見てるときもあるのですが
増村保造バージョンでは
そんな感想を持ちました。
DJ KAZURU
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