文楽5月公演@国立劇場。
三部あるのでそれぞれチケットを
押さえていましたが、今回は
お国の都合で一枚が休演払い戻し。
改めて別日で取り直す気にもなれず
この数年すべての演目を見ていたけれど
一部は諦めました。
我々観客も
「新しい鑑賞様式」が
すっかり身に付きまして
飲食なし、挨拶なし、寄り道なしで
やっていますが、こういったことを
徹すれば徹するほど
マナーの悪い客が目について
イライラすることもあると言うのが
正直なところです。
席数を減らせば、チケット代があがるのは
当たり前ですが、それでも
興行サイドの利益は少なくなっており
観客はより濃密な内容を求めますから
バランスが取れないのです。
三部の「摂州合邦辻」は好きな演目です。
20歳そこそこの玉手御前が
17歳位の義理の息子に
惚れて揉める話ですが、最後に自害し
すべてはお家騒動から皆を守るためだったと
告白して大団円、というストーリー。
でも私は、玉手御前はマジで
美少年の継子に惚れていた話だと思います。
もっともらしい理由はつけてますが
「あなたを救うために自分は死んだ」
という方向に持っていけた玉手です。
これは
相手が一生涯、誰と恋愛しようが
結婚しようが、自分のことを
感謝し続けていくわけですから
「最高の存在」になれることを
意味します。
現世で万難排し、相手の心をつかんだとしても
それは一時のこと。
死んで、深く心に自分の存在を
刻み付けることこそ
玉手御前の目的だったように思うのです。
DJ KAZURU
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