
「兵隊やくざ」
有馬頼義 著、拝読。
文庫表紙にあるように
先に映画の方を見ていましたが
勝新太郎のキャラクターを
上回る、一等兵「大宮貴三郎」の
描写が最高です。
実際に満州で3年の
軍隊経験がある著者ならではの
小説で、細かいディテールや
エピソードに引き付けられます。
今ではこういった
世代もほぼいませんから
資料としても面白い。
階級序列社会では
理不尽な訓練や
上から下へのビンタは日常的。
自分の中の暴力性を発揮して
収まる人はいいけれど
まともな感覚の持ち主には
耐えられない構造です。
休みがあれば女郎を買いに
町へ行き酒を飲む。
規律ばかりの生活に耐えられず
脱走や自殺を図る者もあれば
それを隠蔽する者もいる。
そこへ
殴られてもびくともしない巨漢で
古参兵のようにふてぶてしい
初年兵貴三郎が入ってきたことで
異質な空気ができていく。
戦時下だって
軍隊だって
網の目をかいくぐって
そこに楽しみを見つけていくのが
人間。
そう、この小説は
めちゃくちゃ人間臭いのです。
DJ KAZURU
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