井上ひさしの
1978年の小説「十二人の手紙」拝読。
劇作家の書いたものを
読むことは普段ないのですが
昨年神保町の書店で
山積みにしてドーンと売り出していたのに
つられて購入。
「手紙」を軸にした
別々の12のストーリーだけれども
最後の一篇に、登場人物が
集まる仕掛け。
テーマは人間の未熟さや
身勝手さ、というところですが
なかには、公的証明書
出生届、診断書、などだけで
綴られるもの、また
「手紙のマナーブック」に掲載された
お手本文章だけで構成されたものもあり
見事、と唸ってしまいました。
作者は
「芝居は趣向。
これが戯曲を執筆するときの
わたしの、たったひとつの
心掛けである」
と、発言していたそうですが
まさに趣向に満ちた小説でした。
手紙は顔が見えないから
どのようにでも偽れる一方
真実が顔を覗かせることもある。
2021年にはすっかり失われた
文化ですが、人の愚かしさは
変わらないような、そんな
思いがよぎります。
DJ KAZURU
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