アダルベルト・アルバレスがコロナで亡くなったという
ニュースが2021年9月1日に入ってきました。ショックです。
73歳は早すぎます。
私がキューバ音楽を聴き始めたとき、
ちょうどアナログからCDに移行し始めた頃で、大手輸入盤店には
キューバ物のCDが20点くらいしかなかったことを覚えています。
その中には日本のレーベル、テイク・オフから出ていた
アダルベルト・アルバレスや輸入盤のルンババーナ、
アルセニオ・ロドリゲスがありました。
ルンババーナは、アルセニオと並んでキューバ音楽で最初に
好きになったバンドで、ピアニストのホセイート・ゴンザレスの
アレンジにのめり込みました。後から知ったのですが、
アダルベルトはホセイートが憧れだったようで、
彼に見いだされルンババーナに自作曲を取り上げてもらい
作曲家デビューを果たしています。
彼はサンチャゴ・デ・クーバで、自身のバンド、
ソン・カトルセを結成。ボーカリスト、ティンブロンを擁して
素晴らしいアルバムを発表します。
ソン・カトルセ時代の曲を聴き返してみると、
生涯で作品の中でもベストに上げられるものが何曲もあることに
あらためて気が付きます。
ルンババーナ、アルセニオ、アダルベルトは
この当時本当によく聴きました。
まさに、キューバ音楽の魅力にはまった原点。
その後のアダルベルトはハバナに出ていくのですが、
バンドはサンチャゴ組のソン14とハバナ組の
アダルベルト・イ・ス・ソンに分裂します。
ハバナに来てからは、ボーカルのフェリックス・バロイ、
トレスのパンチョ・アマート、ティンバレスのカリストを
メンバーに(一時パウリートも在籍)
バンバンと並んでNO.1バンドに上り詰めます。
このころがアダルベルト・アルバレス・イ・ス・ソンの
バンドとしての最盛期といえるでしょう。
キューバ音楽は競争が激しく、聴衆も音楽がだめになると
すぐ次のバンドへ興味が移り人気が下がっていくのですが、
アダルベルト・アルバレスはコンスタントに
良質なアルバムを発表し続け、ロヒータスやアラミス・ガリンド
といった人気ボーカリストを輩出し、ティンバ時代を乗り越え、
今だに第一線で活躍する稀有なバンドの一つとなっています。
その楽曲は、ソノーラ・ポンセーニャをはじめ海外のバンドにも
盛んに取り上げられ、
キューバ音楽の真のマエストロという地位を築くのです。
そんな巨星がまた一人他界してしまいました。
福田カズノブ
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