映画「minamata」。
石牟礼道子の小説が大好きなので
水俣といえば当然のように
彼女を思いますし、私は
石牟礼文学を通して
水俣の惨状と闘争を知ったのです。
ここには石牟礼道子はおらず
アメリカの写真家がおさめた
水俣の記録であり彼の人生の映画でした。
池澤夏樹は
「膨大な数の不幸な患者を生んだ
水俣病の決着はまだついていない、が
同時にこの歴史事象は我々に思索を強い
多くの名著を生んだ」
とし、
そのなかにユージンスミスの
写真集「水俣」も挙げていますので
存じ上げませんでしたが、確かに
水俣を写し取った人なのですね。
ジョニー・デップ主演プロデュースときいて
意外に思いましたが
どんなに成功をおさめても
アメリカの俳優はデリケートな
公害問題に言及できるのですから
素晴らしいです。
正直ハリウッドスターという
彼のような知名度がなければ
映画を見に来る人もまばらに違いない
テーマです。
さて、本編は大変
フォトジェニックなminamataで
美しさが勝っておりました。
しょっちゅうLIFE誌とのやりとりが
出てくることもあって、これが
熊本の出来事だと
忘れそうなくらいです。
いっぽう石牟礼道子の描く
熊本、水俣の光景も
幻想的には違いないのです。
「苦海浄土」は読んだでしょうが、
「椿の海の記」を
ジョニー・デップは読んだでしょうか。
この本が、今こそ世界中で
読まれたらいいのに、と思います。
海の美しさ、土地の眩しさ
人の営みの尊さを
知ることで、いっそう
それが奪われる悲しみ
「怨」
の意味にたどり着けます。
DJ KAZURU
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