新編日本女性文学全集5、収録。
吉屋信子 著
「花物語」拝読。
久しく読んでいなかった
吉屋信子を読もうと思ったのは
本作へのオマージュ
空木春宵の「徒花物語」を読んだことが
きっかけです。
それにしても
こんなに美しい文章だった? と
感動しました。しかも
花物語の最初の一篇は
吉屋信子二十歳の時の作品なんですね。
子供じみた処の無い、しかし
少女の繊細な心をうつしとった
才気溢れるまぶしい文章にときめきました。
明治中盤の生まれとしては
モダンな感覚のように思われますが
大正期の豊かな文化を思えば
普通のことなのか・・・今の作家には
ピアノの音色を
水晶の玉と珊瑚の欄干で表すような
文を操ることは難しいでしょう。
・・・
その時、講堂の中で
静かにピアノの蓋のあく音がしました、
そして、やがて
コロン・・コロン・・と、水晶の玉を
珊瑚の欄干から、振り落とすような
いみじくも床しい楽曲の譜は
窓からもれ出でました、それを
聞いた時、母の顔色は颯と変わりました。
その楽曲は海杳な伊太利の楽壇に名高い
曲だったのです。
・・・
DJ KAZURU
Add A Comment