
「現代音楽史
~闘争しつづける芸術のゆくえ」
沼野雄司 著、拝読。
音楽の歴史にとって
もっとも重要な切断点は
フランス革命でもバッハの平均率でもなく
1877年レコードの発明だということが
書かれており、なるほどと思いました。
「その場の空気に反応して
臨機応変に音楽家をドライブする
’19世紀的/主観的’な演奏から
いつどこで聴いても
同様の価値を有する
’20世紀的/客観的’な演奏へのシフトが起こる。
もはやライブ演奏かであっても
録音と比較される時代が到来した。
以後
楽譜通りにミスなしで演奏しつつも
一方で、他人との差異が要求されるという
まるで二律背反といってもよい
離れ業が演奏家に課されることになる。」
いやーもうその通り。
他にも
第二次世界対戦による
音楽家たちの立場。
とか
「現代音楽の世界では、誰が
最初にそれを行ったかが問われる。
本来は誰がよい曲を作ったか、こそが
問題になるはずなのに」。
とか
「ガラクタのような雑音によって
音楽を組織する試みの
ミュージックコンクレートの
主導者シェフールが
晩年に
“40年もかかって出た結論は
ドレミの外では何もできないということ”
と言っている」
とか
そもそも
なぜ日本人がヨーロッパ音楽を書くのか、
という問いなど
興味深い話がいっぱいでした。
現代音楽の初演を聴くことが
この数年増えたのですが、ちょっと
新しい気持ちで次のコンサートで
耳を傾けられそうです。
DJ KAZURU
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