「黒白の一族」
明野照葉　著、拝読。

最近の作家さんてほとんど読まないけど
たまには、と思い手にしました。

杉並の住宅街に突然引っ越してきた
10人家族。

敷地内にお社、鳥居を作り
神社を司る巫女である家長。

完全な女系家族で婿たちは
更に女系を重ねるための道具のようだが
人当たりの良さで周囲に溶け込む。

家長は新興宗教のごとく
悩み相談にのり、心を見透かしたような
言葉で周囲の住人をあっという間に虜にする。

祭りでは音楽と踊りで
またまた住人を魅了。
株価の変動まで言い当てる。

神事の影で組織的売春をしている
疑惑もあるが・・・というなかで
巫女は予言をしその通りの
疫病が蔓延する。

隣家の巫女一族に不審を抱き続けてきた
主人公も、巫女の予言どおりの
結婚相手を得たことで、最も
彼らを「黒」と思い続けていたのに
信じる心でいっぱいになってしまう。

この小説が発行されたのは
昨年末で、作中の疫病もその時代の
情況そのまま、疫病の終息は
描かれずに終わりを迎えます。

この続編があるのなら
巫女は我々に有益な情報を
告げてくれるのでしょうか。

人間は己に有益ななにかを
告げてくれる存在を神として受け入れてしまう。
そんなことではいかにも寂しいようにも
思われますが・・・。

DJ KAZURU