「おんなの女房」
蝉谷めぐ実 著拝読。
歌舞伎の女方というのは
普段の生活でも女の格好
女の仕草、言葉遣いでとおすもの・・・
なんていうのは江戸時代の伝説的女方
芳沢あやめにまつわる逸話で、現在
そんな役者はいません。
この小説では、そんな芳沢あやめに
憧れて一流の歌舞伎役者になりたくて
女の姿を崩さない江戸の役者の話。
そんな彼が、武家出身で役者の世界など
無縁の女を娶った理由は?
歌舞伎の女役は武家の女であることが多い
武家の娘の考え方と振る舞いを
女房を見て学びたい、そして出世したい
その一心で、結婚した女方の物語です。
役者の女房ならではの悩みや
当時の歌舞伎の風俗が描かれており
とっても楽しく読みました。
白粉に含まれた鉛が原因の病を得て
舞台を降りる決意をするのかしないのか。
「女房」は女方として輝く旦那が好きなのか
男としての旦那がいいのか。
あっけない顛末に驚きましたが
どう転んでもこの役者は
長生きできなかったように思われます。
たかだか芝居というけれど
本当に入り込んでしまい
人生を重ね合わせたことがある人って
少なくないと思うのですよね。
本朝二十四孝が観たくなりました。
DJ KAZURU
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