楳図かずお 著
「こわい本 10 顔」拝読。
シリーズ中でもこれは傑作では?
イタズラで書いた手紙がもとで
人生を狂わせられた女と
人生を狂わせてしまった少女の苦悩。
転がるように悪い方悪い方へと
事態が進むのでハラハラでした。
また、
美しい姉の影で
徐々に心を歪ませていった
妹の壮大な復讐劇。
まさか、と思うラストに業の深さを
感じるのでした。
顔なんて形だけのこと、
美醜への執着など、と
言ってしまえば容易いですが
やはりこれって重大問題なのです。
心だけ見ていれば起きない悲劇も
そこは人間ですから逃れようもありません。
いっそ盲人の世界ならば
良いのかとも思いますが、いや
人間は見えないものにも
「あれはきっと私よりも美しいだろう」と
嫉妬するのかもしれません。
楳図かずおは人間の正体を
描く作家です。
いつも突かれたくないところを
突いてくるので怖いです。
DJ KAZURU
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