山田風太郎 著
「赤い蝋人形」拝読。
この数年心ある編集者のおかげで
面白いミステリー復刊が続いて
有り難いことです。
今の鑑識技術だったら
あっというまに暴かれてしまう
ミステリーも多いのですけど
そこにうごめく心の問題は
時代がめぐっても変わらないのね。
表題作の「赤い蝋人形」は
二十年にわたり
カリスマ的人気で若い女性に
支持されている女性作家が
列車火災に巻き込まれたことから
判明する作家の正体、というミステリー。
作家の姿と作風の一致とは、うーん
読者としてもハードボイルドを
アイドルのような小娘に書かれても
読む気がしないというのは、あるかも
ですが、この結末は切なかった。
「新かぐや姫」は
謎の妊娠出産の影で
どのような女の執念があったのかを
たどる物語。
義理の妹が知らぬ間に妊娠出産しており
清純な義理の妹の相手を
血眼になって探すも相手は分からず
死の寸前の告白により、その相手は
自分であったと分かるからくり(義妹は
なんと彼が経営する店の娼婦に化けて
関係を持ったのでした、びっくり)ですが
その見せ方がドラマティック。
米澤穂信氏も、この作品が
大好きだそうです。
他にも秀作がいっぱいで、キリスト教に対する
懐疑というか、牧師や神父という人たちへの
不安を掻き立てる要素もちょくちょく見えて
面白かった。
男と女と神の問題は
いくらでも考える余地があります。
DJ KAZURU
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