1997
RMM RMD 82063
1.Luz Viajera
2.24 Días
3.Ni La Casa Ni Yó
4.Brindando Con El Alma
5.La Chica Del Sol
6.Quédate Más
7.Locas Por El Mambo
8.Guitarra Que Ha Dejdo De Sonar
9.Deja Que Roberto te Toque
Issac Delgadoの1997年にRMMから発表した5作目の「Otra Idea」はその後のIssacの方向性を決めたという点で他の作品とは異なり分岐点となった重要作といえます。
1988年にNG la Bandaに加入して、彼がリードボーカルをとった「Necesito Una Amiga」がビックヒットとなり一躍有名になったイサックは、1991年に独立を果たしました。
デビュー作のアレンジャーは音楽学校時代の友人Gonzalo Rubalcaba。2,3作目は、NG la Bandaで同僚だったGiraldo Pilotoがディレクションし、4作目はJoaquín Betancourtが担当しています。
そしてこの5作目は、RMMの本拠地ニューヨークで録音し、RMMの主要プロデューサーIsidro InfanteとRamón Sánchezがキューバ側のJoaquínとともにアレンジを担当しました。
コアなキューバ音楽ファンからすると、この作品はNYサルサ的で気に入らないという評価が下りそうですが、僕の評価は逆で、影響されたのはイサック側ではなくNY側だったのだと感じています。
この録音の前後からRMMレーベルでは、ティンバ風アレンジのNYサルサが全盛になっていったことから察すると、キューバ人プレイヤーの生演奏に触れたその衝撃は相当のものがあったのでしょう。
イサックはこの作品の翌年、RMMから代表作ともいえる「La Primera Noche」をリリースし、名実共にキューバン・サルサの歌い手として海外で最も認められる存在になっていきます。
さて、この「Otra Idea」ですが「最高」という賛辞に値するナンバーが目白押しです。
1曲目 Luz Viajeraは、DJイベント「ティンクーバ」でも欠かすことの出来ないメロディが印象的なナンバー。
2曲目の24DíasはJoaquín Betancourtのアレンジが冴える曲。
3曲目のNi La Casa Ni YóはNY側のIsidro Infanteが担当した曲ですが、イサックは全く違和感なく自分の持ち歌にしています。
4曲目はMelón Gonzálezのイントロからピアノが印象的に耳を刺激する名曲。当時のイサック・バンドのライブではメインを飾っていた曲です。
そして、9曲目のDeja Que Roberto te Toqueは、ソンの名作曲者Cándido FabréのナンバーをIsidro Infanteが素晴らしいアレンジで仕上げています。Melón Gonzálezのピアノがドライブするこの曲は、キューバン・ティンバとNYサルサのまさに融合と言える出来。
このアルバムの制作の後、イサックのオルケスタはNYのセントラル・パークやマイアミでライブを行い、一世を風靡したブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ系のアーティストとは違う迫力の生演奏を見せつけ、観衆の度肝を抜いたというニュースも入ってきました。
イサックの素晴らしいところは、亡命という手段をとらずに、この時期にビジネスとして海外と渡り合って世界進出を果たしたという点にあるのではないでしょうか。
(福田 カズノブ ★ 2005/02/21)
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