「自選作品集、鬼子母神」
山岸涼子 著、拝読。
角田光代が「毒親」という
単語を持ち出して解説していますが
1980~90年代に書かれた作品集なので
「毒親」以前の時代に「毒親」を
描いたのですね、しかも決定的に。
冒頭の「夜叉御前」は、
能面に象徴された幻影を見ている娘が
黒いものにのしかかられ安眠できない話なので
この世のものでないものにとりつかれた
家の話、ホラーかと思い読み進めてしまいます。
が、
娘を見つめ続ける能面の正体は
夜な夜な父親に犯されている
娘を見つめる母親だったことが
一瞬で明かされる描写のすごさに
ノックアウトされました。
こういう劇的な表現を
漫画でよくやったな、という気持ちと
漫画だからできたのか、というのが
同時でしたがとにかくすごい。
山岸涼子はすごいと知っていたけど
未読の作品を読むとそのすごさが
上書きされます。なんという
表現者でしょう。
DJ KAZURU
Add A Comment