文楽の太夫、竹本織太夫の
「文楽のすすめ」シリーズも三冊目。
新作は「14歳からの、文楽のすすめ」です。
サイン本買えました。
特に子供向けの内容ではありませんが
文楽というのは人間のすべてが
詰まっているといっても
過言ではありませんので、どんな
エピソードも興味深く読めます。
私がもっともグッと来るのは
人形遣い、太夫、三味線弾きの
誰も目を合わせないという話です。
タイミングがビシィっと合わねばならぬ
全ての箇所で目を合わせない、それでいて
完璧に間が合う。
こんな格好いいことある?
文楽は最初から最後まで
合図というものがありません。
私は若い頃ずっとヴァイオリンをやっていて
学生のオーケストラとかやってたのですけど
とにかく指揮者を見ろ見ろ、と
言われていたんですね。
目で見て確認してから体が動く
それが西洋のやり方です。
日本の伝統芸能はそもそも
指揮者もいないし、五感を研ぎ澄ませて
タイミングを合わせるんです。
現在、私も
三味線を弾いているときに
隣の人に合わせるために
横目で見たら
「みっともない」と
言われます。
顔がまっすぐだとしても
目玉が動いたら
客席からは
「白目が動いて目立つ」から
目玉も動かさずに横並び一列の
メンバーの気配だけで演奏することを
求められます。
だから私は一曲弾き終わるまで
一メートル先の畳の目に焦点を合わせて
動かさない練習をしています。
音楽家の体の表現も音楽の
ひとつ、という考えもありません。
耳に届くその音だけで
激しさも衝動も感じさせるのが基本です。
目で訴えているなんて
日本の伝統芸能からすれば
ずいぶんと甘いことなのです。
でも文楽の太夫は目力ある人多いけどね。
DJ KAZURU
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