山田詠美対談集
「メン　アット　ワーク」拝読。

1998年発売当時に
一度読んでる対談集ですが
文庫で再読。

石原慎太郎の話などは、もはや
ピンと来なくなってたけど
団鬼六との対談は今でもフレッシュに読めた。

あとよかったのは水上勉に
宮本輝、佐伯一麦。

SMと文学は普遍的なの？

湾岸戦争のときに
文学団体が言い出したことに
山田詠美は自説を語っていて
なるほど、感心したことを思い出しました。

今も戦争が大国で起きると
色々なことを言い出す人がいるわけですが
当事者置き去りの論争に
燃える人っていますからね。

・・・

佐伯

湾岸戦争反対の文学者の声明があって
お互い、そういうことは
文学者のやることではないんじゃないか、
というようなことを言ったのは
覚えてるんだけどね。

山田

湾岸戦争のことは色々な意味で
忘れられないよね。
ああいう抗議活動もひとつのやり方
なんでしょうけど、私のスタイルでは
まったくない。
やっぱり私は、そういう運動から
こぼれたもの、一番ないがしろにされがちな
部分を拾うべきだと思ってる。

佐伯

ワシントンでの黒人の抗議活動もあった。

山田

そう、あれをアフリカ系アメリカ人全員が
支持していると思ったら大間違いな話で
あの抗議行動は決定的に
女性を差別しているからね。

女は家に入ってろとか、よく言うよなって
見ていたフェミニズムの人もいると思うけど
やっぱりああいうものからこぼれたものを
拾いたい。

ただ、団体として抗議行動をして、何かを
アピールすることはもちろん可能であって
どうせやるならワシントンみたいに
大規模にアピールするべきなんだけど
どうも日本人がやると、湾岸戦争にしても
何の抗議行動にしても、なんか
尻すぼみでしょう。

それってなんだろうというと、やっぱり
本当に
実感のあることじゃないからなんだと思う。

実感のあることがどこにあるかというと
集団の中で多数決で決めるのなら
自分がその中に入ってないとダメなわけで
そこから外れた人たちが抗議行動やっても
説得力が無いような気がするのね。

・・・

DJ KAZURU