没後50年で初文庫化となった
川端康成の「少年」。
なんともイジイジとした
回想が続いてイラついてしまいそうな
文章ですが、それが
川端康成の特性ですから
しょうがないですねえ。
伊豆の踊り子がA面ならこれは
B面なのでしょう。
同時期の淡い思い出の
表と裏。
でもやはり表のほうが好きです。
反対にびっくりするほど
面白かったのが
宇能鴻一郎による解説エッセイ
「川端康成の少年愛」。
一読の価値あります、これを
読むために買ってもいい。
少年愛はごくふつうのことであり
田辺聖子の夫の母校でも
「桜か梅か
二人の美少年が
思い叶いて枕かわし」
とあるとか、
芥川が友情は
競争相手かホモ的感情のどちらかと
言っているが
友情と性を結びつけるのは理解できない
性はむしろ敵意の産物に近い、
とか、
かわいいタイプは未成熟に見えるから
性の対象とするのは犯罪、
野坂昭如も
「かわいいパンティというのは矛盾」
と言ってる、
とか
めちゃくちゃ面白い導入。
そおあと、川端康成の女には
体臭がなく、味覚や嗅覚より
指の感覚が重要視されたことの考察が
はじまる。
「雪国」での
「この指がお前を覚えているよ」の
意味。
宇能鴻一郎の大胆な仮説。
思わぬ付録に大満足です。
DJ KAZURU
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