谷崎潤一郎 著
「盲目物語」拝読。
いかにも本当にあったことを
当事者の近くにいた者が
「実はこういう話がありまして・・・」
と、語ってみせているような
スタイルの創作小説。
谷崎はこの手法の名手だね
「春琴抄」と同じ構成です。
しかも「盲目物語」は盲目の
あんまが語り手なので、漢字が異様に少なく
そこもひとつの効果として
発揮されています。
信長の妹として生まれ
戦国武将の妻として運命に翻弄された女。
その長女もまた武将の妻となり
運命に飲み込まれていく。
誰でも知ってる話ですが
ごく近くで彼女たちに仕えた盲目の
男が微細な証言をすることで
実はこういう事だったのかも、と
真実が見え隠れする面白さ。
毎月毎月新人作家というものが
出現して毒にも薬にもならない
小説を山のように出してると思われますが
人生長いようでそうでもないわけで
いっそ谷崎でも読んでいるほうが
読むべきものは読んだと
言える人生になるのではないですかね。
そんな心から手に取った一冊。
DJ KAZURU
[…] 盲目物語 […]
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