「エデュケーション」
タラ・ウエストーバ 著
村井理子 訳、拝読。
モルモン教の家に生まれ
幼い頃から学校に行くことも
医者にかかることも禁じられ
廃材回収の危険な仕事を手伝わされ
怪我をしても母親の調合した
ハーブしか与えられなかった少女が
周囲の助けを得て
大学へ行き、留学もし
ケンブリッジで博士号を得るまでの物語。
バラク・オバマが選ぶ29冊に選ばれているとかで
アメリカでは400万部売れたそうです。
1986年生まれなのに著者は
出生届も出してもらえなかったんですよ。
学校に通わさせられてしまうという
とんでもない理由で。
まだ子供なのに
彼女も兄弟たちも
危険な作業を強いられ、それが
正しいことであるという父親から
逃れられないわけですが
実際大怪我を追っても医者に見せないのですから
異常です。
危険を承知で父の仕事を
手伝う子どもたちの様子はゾッとしました。
妙な終末論。
肌の露出に対する異様な嫌悪。
学校は悪魔の誘い。
教え込まれれば従うしかないのが
子供というものです、よくここから
抜け出せましたね。
いま日本でもカルト宗教が
問題になっている最中ですが
まさにこういう仕組みで生まれたときから
洗脳が始まり人間として生まれたからには
受けられるべき恩恵になにも与れないというのは
不幸です。
父親たちの星条旗一家の神のように
君臨し、妻と子は追従する構造も
似ていますね。
最終的には著者の父親も
重機をめちゃくちゃに使用して
顔の半分が溶けるような
瀕死の重症をおうのですが
すべては神の意志だという信仰は
変わりません。
父親と母親の生き方は変わらず
著者は彼らから離れてはいるけれど
愛情はやはり変わらない。
家族って何なのでしょうね。
・・・
父と私は寺院を見つめた。
彼は神を見ていた。
私が見ていたのは御影石だ。
そして私達は互いを見た。
父が見たのは忌まわしい女で
私が見たのは錯乱した老人だった。
信仰によって顔かたちを変えられてしまった
人間だ。
それでも父は勝ち誇っていた。
・・・
DJ KAZURU
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