フィデル・カストロとファン・フォルメル、2人共
多くのキューバ人から愛され、尊敬されている人物です。
カストロは体調の不良を心配されていましたが、先日
選挙後に議長職の引退を表明し、世界に波紋を投げかけています。
彼は、民族の自主独立を目指して革命を成し遂げ、その後
ずっと経済で苦しんできました。
盟友チェ・ゲバラは革命とともに生きることを決めてキューバを去り、
カストロは、経済のためにソ連と手を組み、そして崩壊と同時に
援助を斬られてしまいます。
彼は、民族独立と国の経済の自律との間で苦しみながらも
北米の言う「民主化」という甘い蜜を断り続けて今日まで来ました。
一方、ファン・フォルメルは、海外でも多くの評価を得ながらも
国内のキューバ人の支持を重視し続けているミュージシャンです。
最近のインタビューでは、国内の経済によって
ミュージシャンの多くが充分なギャラが得られていない状況を憂いている
という内容の発言をしました。
限られたトップ・バンドしかやっていけない現状は、
キューバ音楽全体の衰退を招いてしまうということも言っています。
ギャラや生活を重視して、保障もなく海外に飛び出していくミュージシャンが
必ずしも成功に結びついていない現状は、政治の状況と似ているものがあります。
2人には、キューバの政治・音楽のプライドを守りつつ、
そして経済的に潤っていくことは出来ないものかという悩みがあるのです。
対岸から眺めると、一気に北米化した場合、必ずしも良くならないという
予感があります。
それは、免疫のないキューバに投機中心の新資本主義が襲い掛かったら
キューバのプライドや良さはモノと引き換えに失われてしまうことを
感じているからです。
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