
中村吉右衛門
「舞台に生きる」拝読。

カラーの舞台写真を見ると
歌舞伎座や国立劇場で観た
吉右衛門さんの芝居が思い出されます。

エッセイも多数収録されており
それを読むと
真面目な人柄、芸への誠実さ
そして四角四面ではいけない、常に
ユーモアを心がけていたように思われます。

初代吉右衛門のところに
男の子が生まれなかったので
娘は初代白鸚と結婚後
宣言通り二人の男子をなし
一人を吉右衛門の家へ養子に出したのです。

跡目を継ぐことが前提で養子にきたのに
10歳で初代に死なれ、教えを請うことが
できなかった、これは
本当につらいことだと思います。

実直に芸に励み、その結果は誰もが
知るところですが、家を背負う重責に
耐えられず若いときは歌舞伎を
やめてフランスへ行って
好きな絵の勉強でもしたいと思ったのも
無理からぬことでしょう。

自身も四人の子供に恵まれながらも
男子は皆無。
4女が菊之助へ嫁ぎ、現在
1男2女をなしていますが、彼女もまた
もうひとり男子を産んでひとりは
菊五郎、ひとりは吉右衛門の名跡を、と
思っているのでしょうか?


それはともかく
吉右衛門の品格ある芝居、大好きでした。

実兄は華のある役者だと口にすることも
あったようですが、そういうことを
乗り越えた、しみじみ身に沁みる
芝居を見せてくれました。
可愛らしい絵本まで拝見できて
改めてチャーミングな人だなと
嬉しくなっています。

DJ KAZURU
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