「赤江瀑の平成歌舞伎入門」
赤江瀑 著、拝読。
2007年の本ですので
今とは役者の中心層も違う話で
進みますけれど、赤江氏自身が
ものすごい見巧者なので
仰ることはすべてごもっともです。
男の身体の上だけで実現可能な
女形。男の体の中へ投げ込まれた
女というものがそこで噛み砕かれ
原型を失い、血や肉に同化した
五体の中から再び取り出されて
出現した女形。
強壮で
野太くて、ふてぶてしい
若い旺盛な肉体が、心は凶悪
残酷無比である色悪の魅力。
氏の小説を読んでいると
芝居というものの奥深さ恐ろしさ
蠱惑の世界が伝わってきますが
氏も世を去って歌舞伎もだいぶ
変化しました。
しかし、自由に見ればいい
参考書はいらない、ただ上等の役者に
出会えればそこで何かしら感じて
受け取ることができるという
意見には大賛成です。
私は、ここ数年仁左衛門と玉三郎が
出るときはなるべくチケットを取るように
しているのですが、このときは
歌舞伎がどうこうを超えて、心臓を
鷲掴みにされる感動があります。
・・・
誰か案内人がなければ、
解説者がいなければ、
手を貸してくれる人がなくては、この
芸能の内側へは入っていけない、などと
思っていては、永久にこの芸能を理解したり
この芸能と対決したり、この芸能を
楽しむことができたりする機会は、やって
来ないでしょう。
相手は
そんなやわな芸能ではありません。
この芸能を知るための作法などは、
まずないと考えることから始めましょう。
・・・
DJ KAZURU
Add A Comment