「デクリネゾン」
金原ひとみ 著、拝読。
デクリネゾンとはフレンチで
一つの素材をいかに変化させていくか
みたいな意味らしいけど、客で
通ってるぶんには知らんがな、でした。
作家が主人公で
彼女は結婚して子供ができて
不倫して離婚して、その不倫相手と
結婚して、また別の男と不倫して
離婚して、今は15歳くらい年下の
大学生と恋愛している。
同年代の同じ作家の女性二人と
親しく交流しているが、彼女たちも
夫の他に恋人がいる。
彼女たちはコロナで緊急宣言が
出ようがなんだろうが、とにかく
肉やシーフードやインド料理を食べて
酒を飲みまくって、場所がなくなると
路上でストロング缶まで開けるのだが
恋愛にジタバタしている。
まあ40歳くらいでもそういう人は
いるのかもしれないけど驚いたことに
主人公の作家は大学生の恋人と
3度目の結婚までしておいて
これは、いつかなくなるものだと
判っている。
若い恋人の自分への信奉も
いずれ消えると理解していて
中学生の子供は実父のところで
暮らすようになっても、
恋愛にのめり込んでいる。
これはなかなかの
タフさだと感じました。
前半恋のすったもんだで
疲れましたが、後半コロナの
世界になって、そこで主人公が
自分の欲求にあからさまに
向き合っていくところは面白かった。
考えてみれば
家で三味線弾いて本読んでれば
まずまず楽しく暮らせている自分には
想像も及ばないストレスを抱えてる人も
大勢いるのですよね。
そこで何かが切り替わった人たちの
掴んだもの捨てたもの
その変容の物語ともいえます。
DJ KAZURU
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