先日紹介した「スピン」なる
雑誌に
「絶版本書店
手に入りにくいけどすごい本」という
コーナーがありまして、そこで
中島京子が紹介している
有吉佐和子の「女二人のニューギニア」
がめっぽう面白そうだったのです。
入手困難な絶版本を
面白おかしく紹介するなんて
なんてイケズな企画なんだ、でも
嫌いじゃないです。
1960年代に女流作家として
活躍中、30歳代の有吉佐和子は
ニューギニア界隈でフィールドワーク
している旧友の畑中幸子に誘われ
現地へ行くのですが、今にも墜落しそうな
ボロボロの飛行機に乗って
鼻にいくつも穴を開けて動物の骨や牙を
つけている民族たちのいるところへ
向かうわけです。
日本橋三越から高島屋へ移動するにも
タクシーに乗ると豪語する有吉佐和子ですが
飛行機のあとはひたすらジャングルを
歩くしかないのです。
よくまあチャレンジしたものだと
びっくりしますが好奇心となにかしら
ここで得たもので小説を書いてやるという
気持ちが強かったのでしょう。
最後には力尽きて
卒倒し、獲物の豚よろしく
木に括り付けられて、運ばれた
有吉佐和子。
さすがなのはその必死すぎなのが
一周して愉快になっている文章です。
すっかり現地のノリに慣れて
平気でどこまでも歩いていく畑中幸子との
やり取りも面白くて最高でした。
私は、なんとしても
このルポを読みたくて探したのですが
精選女性随筆集四に収められている
抜粋版しか見つけられませんでした。
(抄)では往路の話のみで
帰国時のエピソードは割愛されてました。
このときの話も面白いらしいので
読めなくて残念です。
どうも差別的表現が現在の
出版コードに引っかかるので
再出版は難しいらしいのですが
とすると我々は、確実に50年前より
つまらない本を読んでいることに
なりはしないかしら。
寂しすぎます。
ところで有吉佐和子は帰国後
マラリアを発症し2ヶ月入院したそうです。
人喰いキノコを避けながら歩き
ときにはヒルに吸い付かれ、それも
当然かなと思える
旅の記録でした。
DJ KAZURU
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