「セックスロボットと人造肉
〜テクノロジーは
性、食、生、死を征服できるか」
ジェニー・クリーマン 著、拝読。
リアルドール。
非常に高額なセックスドール
は男性の性のコントロールのために。
クリーンミートと称される
人造肉はハードコントロール下に
動物たちをおく、まるで強制収容所の
ような食肉畜産業を変えるために。
羊水の成分を入れた
透明ビニール袋の人口子宮は
リスクの多い出産から
女性が解放されるために。
ボタン一つで自死できる機械は
死を望む高齢者が
最も安楽に死ぬことができるために。
確かに、女性が出産に割く時間は
キャリアを失うことに繋がるし
死にたいと思ったら自分の意志でその時を
選べるのもいいのかも知れない。
人間の根源的な部分に関わるビジネスを
してる人たちはみな、口当たりのいい
言葉でアピールを欠かさない。
けれど
自分の思うままに性的なサーヴィスを
してくれるロボットを増やすことは
女性に対して荒々しいことをしたい、または
幼女を犯したいという欲求を受け入れてしまう。
そうした欲望をコントロールすることこそが
本来求められるべきなのに。
人工子宮も女性にとっての
メリットをうたっているが、現実に
増えた声は
「この形で自分の子孫が残せるのなら
女はもういらない」
という女性を貶める男性たちの意見らしい。
食肉の人工化も、劣悪な環境で
食肉にされる動物たちの開放になるという
名目を持つが、なぜかこのビジネスの
上層部の人間はヴィーガンであることが多く
ヴィーガン思想から来ている発想らしい。
安楽死の機械については
入会金その他で完全に金を集めるためだけの
団体であるらしく、病や老いに苦しむ人たちから
金を引き出す団体になっている。
そもそも
痛みや苦しみがなければ
病気でも老いても自ら死にたいと思うのかどうか。
そちらの対応なくして
死にたいなら死ねますよというのは
安直すぎる発想です。
ともかくこういったビジネスというか
テクノロジーが先進国で進んでいて
我々の生活のすぐ隣まで来ていることは
確かなようです。
大変な本を読んでしまいました。
・・・
クリーンミートは
私たちが人間であることの
意味を変えようとしている。
この先、人間は動物の命を犠牲にして
生きるのをやめるだろう。
しかし、もし肉への欲求が
自然の摂理でなく文化の産物であるならば
テクノロジーに頼らずに文化を変える力は
私たちの中にある。
文化はすでに変化している。
「男らしさ」はもはや
「火を起こすし、動物を殺す」
という意味ではなくなっているのだから。
セックスロボットが性犯罪者にとっての
メサドン(麻薬系の鎮痛薬)になるのかも
しれないのと同じように、クリーンミートは
たしかに人間に動物を殺すのをやめさせる
変化をもたらす製品なのかもしれない。
いっぽうで、私たちの肉への依存は
いつまでもなくならず、私たちはその供給を
顔の見えない多国籍企業に頼るようになる
可能性がある。
肉を食べるのをやめて動物を
支配する力を放棄するのと引きかえに
私たちは遠くの企業に自分たちを
支配する大きな力を与えることになるのだ。
・・・
DJ KAZURU
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