NHKテキスト
「人形と人間のあいだ」拝読。
ぬいぐるみが生きてるかどうかが
わかる私としては非常に興味深い
テキスト。
ついでに聞き逃し配信でラジオの
講座も聞きました。
ぬいぐるみについて
唯の物とは明らかに異なる反応を
もって接してしまう私達、それは
なぜなのかを研究してる
菊地浩平氏氏による講座ですが
プロフィールによると
私の母校の講師でした、今は
こんなことも教えてるんですね。
藁人形は、ネットで買ったばかりの
ものであってもぞんざいに扱うと
呪われそうに感じる、とか
家族の一員のように大事にしている
ぬいぐるみがいて離れられない、とか
各個人のエピソードも面白いです。
講師は、ふなっしーの着ぐるみ論
つまり中の人がいると分かりつつ
ぬいぐるみと接する人の心、や
NHKで人形劇が果たしてきた役割、や
羽生結弦選手のプーさんぬいぐるみに
ついて、と
さまざまな例を上げて論じています。
ここで気になるのが
江戸時代以降「人形で生きているような
存在」といえば、まず思い浮かぶ
文楽の人形についてほぼ
語られなかったということです。
我々日本人は
そこにおいてあれば魂の欠片も感じない
文楽の人形が、人形遣いの手により
動き、そこに太夫と三味線による
感情表現が伴うことで
表情筋が動いたような気がしたり
人形の頬を涙が伝ったような
錯覚さえ抱きます。
人間味丸出しの文楽でに舞台上で
刃でも突き刺さろうものなら、芝居なのに
うわーっと思ったりします。
NHKの人形劇と違って
人形操作する人も丸見えですし
観客が意識的に人形遣いを
見ないようにしてるかといえば
むしろ、積極的に主遣いの
様子を観察したりすることもあるので
人形そのものに感情移入できるにしては
かなり不思議な状況です。
余談ですが、
人間国宝の吉田簑助は
病気をしてから満足に
体が動かなくなったのですが、舞台では
不自由さを感じさせない珠玉の
人形遣いでした。
引退のセレモニーのときでした。
そこまで言葉も出ず、また
体が動かなかったのかと
我々は知ったのですが
挨拶の言葉は代読
自分は弟子の簑二郎に袴の
後ろを掴まれてようやく直立できてる
状態でした。
表情も大きく動かすことなく
支えてる側の簑二郎が
感極まって号泣してました。
その様子を見て
「あ、簑助さんはとうとう
人形になったのだ」
と、私は理解しました。
これってまさに
「人形と人間のあいだ」ではないかしら。
ぜひ、次回は
このあたりのことも考察して
頂きたいですね
人形文化研究者というなら
人形浄瑠璃に疎いということもないでしょう。
DJ KAZURU
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