秋は落ち葉の和菓子。
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小説「自転しながら公転する」
には面白い考察がありました。
32歳のアパレル女性店員が
回転寿司店の仕事がなくなって
無職状態の30歳の恋人から
誕生日プレゼントに
10万弱のネックレスを
プレゼントしてもらうところです。
彼女は、安物のスーツと
バッグで就職活動をしているにも関わらず
彼が自分の誕生日に
(よくわからないからネットで検索して)
高価な装飾品を買ったことが許せません
(そして彼女も検索で価格を知った)。
そんなことするなら
二人の将来のために、就職活動を
頑張って欲しい、そのための自分の
身なりを整えるのにお金を使ってほしかった
と、彼に訴えて関係は険悪に。
これはまっとうな感覚のように思いましたが
彼女の友達は、アパレル勤務の彼女の考えは
「狭量だ」と言います。
お洒落にこだわる人は
人がお洒落にこだわってないのが許せないだけ。
無職とはいえアルバイトをしたお金で
高価なプレゼントを買ってくれた彼は
そんなに悪いことをしただろうか、と。
そしてもう一つの意見として
10万のネックレスではなく指輪だったら
結婚の意思表示だったら怒らなかったのでは
とも言われます。
なんかここが面白かったんですよね。
私も若干そういった狭量な部分があって
食事に関して貧しいことが許せないというか
常に真っ当なものを口にしたいという
気持ちがあるので、これはもしや
グルメな人って心が狭いよね、に
当てはまるのではないかと思いました。
以前友人が、ファミレスの料理でも
美味しいねーって食べてる人いるんだよ、と
うんざり顔で言ってたときに同調した
私ですが、考えてみれば
毒が入っているわけでなし、ちゃんと料理として
存在しているものを、こだわりなく
美味しくいただけている人のほうが
良いのかもしれません。
山本文緒氏って
こういうはっとする投げかけを
恋愛小説に含ませてくれるんですよね
本当に早すぎる死でした。
DJ KAZURU
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