〔 2007 年を振り返って 〕
2007 年のキューバ音楽はどうだったのかというと、
イサックの亡命と新作発表が最も衝撃的なトップニュース
だったのだと思います。
個人的にも CD を購入して聴くまでに久々の緊張感と興奮を覚えました。
結果から言えば、この亡命はイサックにとって吉と出た感じですが、この後キューバ国内や US 在住キューバ人ミュージシャンに与える影響は、今年 2008 年以降に出てくるとみています。
キューバ国内では、レゲトン・ブーム、ジューサに代表されるミクスチャー系のムーヴメントも一段落した感があり、サルサ・ティンバ回帰がゆっくり進行している感じです。
ところが CD では、エグレムの新レーベルからトラディショナル・ソンやキューバン・ジャズの新譜が大量にリリースされましたが、サルサ・ティンバ系の大物アーティストは、チャランガ・アバネーラとNGラ・バンダのみで、振るわなかったといえます。
バ
ンドの状態、演奏のクオリティ、人気などを現地の情報から推察すると、バンボレオと Maikel Blanco y Salsa Major
が最も勢いがあり、Los Van Van と Manolito を別格にすると、この2バンドがトップをとっていたようです。
一方、国外のキューバンは、イサックの亡命で地殻変動を起こし始めた模様。
ほぼ干されていた状態のマノリン、カルロス・マヌエル、ダニー・ロサーダにとって、在米組みの先輩であるティエンポ・リブレに追いつくチャンスが現れるかもしれません。
日本国内では、バンバンとバンボレオの再来日。元チャランガ・アバネーラのコンゲーロが在日にといったニュースがありましたが、いずれも何度目となる出来事で、冷静な見方が大勢を占めていました。
キューバだから全て良い、キューバ人だから最高といったステレオタイプなものの見方が昨年あたりで終わり、ダンスも音楽も質の高いものを求める傾向、また自分の好みをしっかり見据える傾向がでてきたのでしょう。
当方主催のイベント TIMCUBA は昨年から マンスリーに戻り安定した開催になりました。
音はキューバ国内のみならず国外のキューバン、さらにティンバ・テイストのあるもの、その他の音源もティンバの要素を MIX 加工することでトータルな音空間を創っています。
キューバ音楽だけのイベントでスタートしたティンクーバも、今やTIMCUBA 的な音を自ら構築して提供するといった、バンド的なものになってきたと理解してもらえるとありがたいです。
2008 年のキューバ音楽シーンはどうなるのか、皆さんと共に期待を持って見守って行きたいと思います。
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