「誘蛾灯」
青木理 著、拝読。
2009年、鳥取で
男を連続殺人した容疑で
上田美由紀が逮捕された
実際の事件、なんとなく
覚えているようないないような
その程度でした。
が、何人もの男を手玉に取り
生活が破綻するまで貢がせ、金を
絞れ取れなくなると男たちを
殺したという女が
「身長150センチで80キロ以上
5人の子持ち」
と聞いて、青木理氏同様
がぜん興味を持ってしまいました。
さらに被害者の中には
妻子ある
読売新聞の記者と
鳥取県警の警察官もいたのです。
どちらも上田美由紀にぞっこんで
妻子を捨てて上田美由紀と一緒になりたいと
公言していたそうで、妻はともかく
我が子を捨てて他の男が上田美由紀に
産ませた子供を育てる決心をしたことに
びっくりですが。
本書によると
男たちがなぜこうも上田美由紀に
惹かれたのかというと
「優しくして、男を立ててくれる」
「マメにラブレターやメールをくれる」
ということが主に挙げられまして
友人と飲みに行くというと
2、3万握らせてくれて恥をかかないように
してくれる優しい女、という
供述が出てきますが、その金はそもそも
むしり取られていたお金の一部なのでした。
とにかく、こんな子供だましみたいな
言動で男を騙せるのか、と思うこと
ばかりですが5人も騙されたんですね
死んでない人も入れればそれ以上だけど。
デブ専ホステスと客の関係が
割とすぐ肉体関係が出来
「子供を5人もひとりで育てて健気だ」
に始まり
生活費を渡すようになり
「妊娠したけど迷惑かけないように堕ろすね」
で、中絶費用を迫られ
「双子だったから倍額必要」
で、更に出し
「三つ子だった」
で、もっと出し
「やっぱり産みたい」
で、もっと金額がかさみ
もちろん子供は出来ていないので
「中絶した」
になってまた金銭を要求されるのですが
この経緯は法廷でも失笑が漏れるほど
バカバカしい話で、大の男が
信じて金を出す話じゃありません。
でもこうやって全財産彼女に与え
借金も重ねた男が複数いるのは
事実なんですよね。
上田美由紀の殺人罪が白か黒かよりも
なぜ男たちがたいして賢いとも思えない
このモンスターにしがみついたのか、が
知りたい。
男心は
ちょっと優しい言葉を架けられたり
男のプライドを立ててあげるだけで
操作できるような簡単なものなんでしょうか。
しかも常に複数の男
同時進行なのを、男の方も
わかっているのですよね。
それでも彼女のことが
みんな大好きなの不思議すぎでした。
ちょっとこれは
研究したい現象です。
ところで
同時期にやはり男を手玉に取って
次々に殺害した木嶋佳苗は
青木理氏に取材してもらった
上田美由紀に嫉妬したと語ったそうです。
田舎の地味な女である上田美由紀より
セレブ気取りで派手な言動の木嶋佳苗は
大きくマスコミに取り上げられ
ドラマや小説にもなりましたが
面白いものですね。
木嶋佳苗が目をつけるほどの
ルポライターに取材されても
心が動かない上田美由紀は
やはり賢いとは言えないのでしょう。
ま、そうなると
上田美由紀にとってチョロかったであろう
男たちもみんなお馬鹿さんてことに
なっちゃうのだけどね。
DJ KAZURU
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