石井光太 著
「絶対貧困」拝読。
身をもって貧困地域に住む人たちの
生活を経験してきた著者の言葉には
説得力がありました。
まず貧困と言われても
どこかの一部の人達のことのように
感じてしまいがちですが
一日1ドル以下で生活をしてる人
全世界の5人に一人。
と、示されれば、けして少数の
人だけの問題ではないと思えます。
貧困と言っても
例えば
お金の稼ぎ手が病気になってしまった
というような単純なことではなく
「戦争が起きる→家族が虐殺される
→他の家族がストレスで暴力的になる
→子供が家出して
ストリートチルドレンになる」
みたいな色々な要素が絡み合って
貧困が生まれているのだということを
著者は繰り返し訴えます。
児童の労働で出来た製品を
購入すべきではないという考えは
もちろん真っ当ですが、一方で
子どもたちがその仕事がなくなり
わずかとはいえ報酬を貰えなくなれば
一家が路頭に迷うこともある。
そう言われれば、一部の企業の
体質を変えるだけでは意味がないと
気が付きます。
物乞いの子どもたちに
金を渡しても元締めの悪い大人に
取られてしまうから渡さないという
考え方もありますが、それで子どもたちが
今日一日を生き延びられるのだという
思いになるのは、著者が彼らと
寝床をともにして取材したからでしょう。
売春婦たちが自分の娘たちに
掃除など売春の手伝いをさせていることには
さすがに著者もノーを突きつけたそうですが
売春婦たちの
「いま自分たちが子供に手伝わせながらも
売春でお金を稼げば、娘たちを学校に
通わせられる。そうすれば娘たちは将来
売春婦にならずに生きていける」
という言葉に考えを変えたそうです。
そして、実際に売春婦の娘たちは
しっかり勉強してきちんとした
生活ができるようになったいいますから
この状況に対して
「売春は悪」というのは
なんの意味も持たないことなのです。
事例はいくつも出てくるのですが
世の中は単純におさめることなど
できないのなら、学べ!
と、常に言われている気持ちで読みました。
こうやって考えていたいと思うのは
やはり
「貧困の人は私だったかもしれない」
そう感じるからです。
同じ人間、わずかの差でしかない。
DJ KAZURU
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