「完全ドキュメント
北九州監禁連続殺人事件」
小野一光 著、拝読。
尼ヶ崎の連続監禁事件と
混同してたんですけど、この本は
それとは別の、北九州で起きた
家族、親族を監禁して
全員で一人づつ殺害させたという
恐ろしい事件。
よくもまあこんな
信じがたい事件がいくつもあるものだと
思いますが、この事件も
主犯とその内縁の妻が殺人に手を染めてから
何年も経過してようやく
露見したので、そういうことって
実は自分のまわりでもあるのかも知れません。
複雑すぎる人間関係なのですが
簡単に言うと
主犯の男(歌舞伎役者のように整った
顔立ちだという)は自分の女の
両親や妹夫婦に難癖をつけて
財産を奪い取り
支配下におき、徐々に奴隷と
王様のような関係を築き上げ、ひとり
ひとり衰弱させ、その者を他の家族が
殺すように仕向けたのです。
自分の内縁の女の父と母
妹夫婦とその子どもたちが殺されたのですが
まず、言いがかりで金銭を要求された
彼らは主犯の男のアパートに
同居するようになり、食事を制限され、
体力が無くなったところで
ずっと立ってろと言われ、トイレの
回数も制限され、小はペットボトル
大は便座を上げて尻をつけずに
扉を開けて監視下で排泄しろと言われ
判断力が崩壊したのかその命令を
実行しています。
なんでいい大人が
そんなことになったのか、不思議ですが
主犯の男の巧みな誘導で
「自らの意志で選んだ行動」であると
思い込まされ従っていたようです。
そういわれても信じ難いけれど
本当のことなんですね。
主犯の男は
「被害者たちが望んで
行ったことだ、と思わせながら
実は自分の要求通りに行動させる」
ことが得意なんだそうです。
中には元警察官の男性までいて
食事制限と行動制限で
立てなくなるまで衰弱し、死に至っています。
もともと頭が悪い人とか
そういうことじゃないのに
洗脳状態だったので、逃げることも
しなかったのでしょう。
衰弱死のあとは
残された者の手で(主犯の男は
自分の手は汚さない)解体と遺棄が
お決まりのコースだったようですが
ノコギリでの死体解体に
小学生の子供まで加わらせていたことに
戦慄です。
以前、ユダヤ人収容所の実態に
迫った本(タイトル失念)で
集められたユダヤ人たちは、一本線の
窪みをみんなでまたがされて、なにもかも
お互いに丸見えの状態で排泄することを
強要されたことを知りました。
素っ裸にされるだけでなく
排泄ということから
尊厳をむしり取られると、一気に
抵抗する気が失せて、みな
隷属状態になってしまうということでした。
被害にあった彼らも
同じような精神状態に
追い込まれたとしか考えにくいです。
そうなる前に
関係をたつことも出来たでしょうが
主犯の男がうまく彼らのウイークポイントを
ついていたようです。
こんなことが明るみになったら
家名に傷がつくとか
田舎で跡取りについて気にするような
一家の性格、心情をうまくついたようで
その手法に驚きました。
なぜこういう事件が起きたのか。
加害者の量刑からだけでは見えないものです。
何があったのか知るには
周囲の人へのインタビューや
細かい取材を経て
肌感覚で得たものを語ってもらうしかない。
その結果このように
分厚い本になるわけです。
人間の恐ろしさを
またひとつ勉強いたしました。
あの人どうしてこんなことしたのかな?
って
思うようなこと時々ありますけど
それが積み重なると
家族の遺体をノコギリで裁断するところまで
たどり着くのですね。
本書では主犯の男女に
近づかれてかなり親しくなってた人も
出てきて、彼らが逮捕されなければ
自分たちも同じような目に遇っていたのでは
ないかと言っていますが、実際に
時間が進めば被害者は増えたことは
確実と言われていて恐ろしすぎます。
DJ KAZURU
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