芥川賞候補になった作品
「ジャクソンひとり」
安藤ホセ　著。

シャツにプリントされたQRコードから
ブラックミックスのゲイの男が
特殊なプレイをしている動画が流れ、それは
ジャクソンなのではないかと勤務先で噂が広がる。

ブラックミックスでない者たちからは
似たように見える
見分けの付かないジャクソンたちの物語。

悪くないし
その後の彼らの行動に興味が出るけど
文章の組み方がなんとなく
すっきりしなくて気になる。

同じマイノリティを扱った小説なら
マイノリティの男しか愛せない
日本人女性を見事に描いた
山田詠美の作品があるけど
彼女が直木賞とったのって
30年くらい前?

あれから30年で文学は後退したのかしら。

最近の賞レースにのぼる作品で
平易な言葉遣いで
研ぎ澄まされた文章って少なくなったね。

先日校正者が
プロフェッショナルという番組で
取り上げられていて、この本の著者も
これを書くに当たって
めちゃくちゃお世話になりました的な
コメントをしてたけど
作家がそんなに校正者に
頼り切りで良いのだろうか。

その校正さんは、本来の業務を超えて
文章に赤を入れていくことが許されている
独特のスタイルなんだけど、彼が
いなければどんな文章だったのだろうか。

と、ここまで書いて

芥川賞選考委員の
山田詠美の選評はどうだったのか
気になって調べてみたら、

【文章と構成が恐ろしいほど荒けずり。
「荒けずり」は、若い
ほんの一時期だけに与えられる誉め言葉。
これからは、細心の注意を払って、
吟味された野蛮さを獲得して行って欲しい。】

とあって、やはり厳しかった!

・・・

「イブキ、褐色ってどういう意味?」

〈スポットライトの下に褐色のダンサーが立っている〉。

ジェリンは昨日送られてきたばかりの
台本の文字を見せて、それをきっかけに
舞台のことを話そうとあきらめない。

「アフリカンもラテンもタンニングも
意図的に一緒くたにする
クソみたいな言葉だよ」

・・・

DJ KAZURU